あふぇりえいと

2009年6月18日木曜日

近江風物詩2009:仰木の棚田(大津市) 美しさの裏に農家の労苦

近江風物詩2009:仰木の棚田(大津市) 美しさの裏に農家の労苦

 紫色のアザミが咲く畦(あぜ)からカエルがポチャンと小さな音を立てて田んぼに飛び込む。しばらく潜ってから水面にひょこっと顔を出し、こちらをのぞいた。

 大津市中心部から車で約30分の同市仰木では、比叡山系の山すそ一帯にいくつもの棚田が連なり、県内有数の絶景が広がっている。幅約1メートル、長さ約30メートルの細長い水田など、地形に合わせたさまざまな形、さまざまな大きさの水田が織りなす光景がアマチュアカメラマンや観光客を魅了する。

 田植えが終わった5月下旬、ほとんど人影はなかったが、まだ背の低い苗の間をアメンボやザリガニが動き回るなど、生命が躍動していた。周囲に建物はなく、水路を流れる水の音がとめどなく続く、のどかな空間だ。

 棚田を巡る農家の歴史は苦労の歴史でもある。田の形がいびつなだけでなく、一つ一つが狭いため生産効率が悪い。それでも、昔の農家はこの棚田を牛と鍬(くわ)で地道に耕し、生活の糧を求め続けてきた。1960年代に機械化が進んでも、田や畦道の狭さのため小型機械しか使えない。水も近くの川からポンプでくみ上げるなど手間がかかる。地元農家によると、平地の水稲栽培の5倍くらいの経費がかかるという。

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