あふぇりえいと

2009年5月26日火曜日

高島の地域通貨「アイカ」 消費刺激の一助に

高島の地域通貨「アイカ」 消費刺激の一助に

 ◇市内循環型景気対策、地元中小事業所を支援

 ◇小売店だけでなく業者も使用、普及へ不断の努力を

 100年に一度と言われる経済危機の中で、国の定額給付金支給を契機に、地域通貨「アイカ」を運営している高島市商工会は5月、2割増し券を発行した。巨大資本の世界的企業でさえ安閑としていられない経済情勢。人口約5万3000人の同市の中小事業所に少しでもお金を回したい、市外にお金を流出させまい…。官民一体で取り組む「地域を愛する通貨」の背後には、地元商工業者支援のため消費刺激の一助になればとの強い願いが見える。「市内循環型景気対策」と銘打つ「アイカ」の現状をリポートする。【塚原和俊】

 ■「アイカ」の歩み

 2005年1月、6町村が合併して高島市が誕生。翌年4月、各商工会も合併し高島市商工会が発足した。旧新旭町商工会が地域通貨を運営していたことから、勉強会を重ねて07年4月、市の地域通貨が誕生。名前は公募で「アイカ」と決まった。

 地域通貨路線を維持し、商品券にしなかったのはこう考えたからだ。商品券は1回使ったら終わり。だが、地域通貨なら小売り店だけでなく製造業や建設業者らに対しても使え、さらに、仕入れ代金や資材購入など事業者間の取引にも使える。こうしてアイカは市中を巡る。2回使われれば、発行額の2倍、3回なら3倍の経済波及効果を生んだことになる。

 スタートから1年で約1800万アイカ(円)が売れ、2年後の今年4月には累計約4300万アイカに達した。事業者は最終的にアイカを商工会に持ち込んで現金化する仕組み。今年4月時点で約800万アイカが市中を循環していると推定されるという。発行累計額の2割ほどの波及効果を生んでいる勘定だ。

 ■行政の援護

 アイカ運営委員会に加わる市は昨年度までに、助成金の一部をアイカで“支出”する仕組みを整えた。市民対象の住宅のバリアフリーや耐震化のためのリフォームで、市内業者による施工などを条件に工費を助成する事業では、工費(100万円以上)の4分の1を50万円を上限に助成するが、うち40%分はアイカで払う。事業所の雇用増進奨励助成や労働環境整備助成は50%分をアイカ払い。若者らの定住促進事業の助成(5年分割)は全額アイカだ。

 市商工観光課は「お金も人も市内にとどめたい。市外流出を防ごうとアイカを活用した」と説明する。昨年度助成金のアイカ支出は総額1300万円分以上に上る。

 さらに、市は市民の要望で、昨春から市への納付金にアイカが使える運用を始めた。窓口は本庁会計課限定で、市税、水道代、市営住宅家賃などの納付に使える。08年度のアイカ納付額はわずか200万円だが、「使い道を広げるために」手間のかかる取り扱いを続ける。

 ■2割増しのインパクト

 当初、アイカの広がりに壁があった。使える事業所が大規模店を除く市内約2000事業所のうち約260にとどまっていたのだ。事業者には現金化の際に手数料1%がかかっていた。今春、市商工会は手数料を廃止し、2割増し特別アイカ発行に際して改めて参加を求めた結果、使える事業所は約1600に急伸した。

 2割増しアイカは「市内循環型景気対策はインパクトの大きなもので」と、定額給付金を機に決断。1000アイカ券6枚1セット5000円、1人2セット限定で計5000セットを発行。「販売額2500万円で地域内消費誘発効果3000万円」を見込んだ。差額の500万円は商工会の積立金1400万円の取り崩しでまかなう。2割増し券は市への納付金には使えないが、市商工会は有効期間6カ月に5回の再使用(循環)を期待している。

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