◇かなわぬ恋の夢か
明け方、男は夢をみた。<余呉湖に舟を浮かべ、日が西に傾いたので岸に戻ろうとしたところ、北方の浜辺で美女が水浴びをしているではないか。岸のヤナギの枝には、セミの 羽のような軽くて薄い着物が掛けてある。名香(こう)の薫(かお)りがするその着物を懐に入れた。水浴びを終えた美女が「私は天女。羽衣をなくしてしま い、天に帰ることができません。あなた様は羽衣のゆくえを知っているのでは」と聞くので、「何も知らない」と応え、嘆き悲しむ美女を家に連れて帰り、程な く妻にした> 男はそこで目が覚める。胸の鼓動が聞こえた--。
長浜市余呉町川並地区(80軒)に残る古文書「桐畠太夫縁起」(1849年、嘉永2年)の後段部分を基に創作した私の夢物語。伝説を「男の夢」にした訳がある。
男の名は「桐畑太夫(たゆう)」。この古文書に登場する都からの落人(おちゅうど)・桐畑太夫の男心は興味深い。
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